石山宏一の新語ウォッチング

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ジャーナリスト 石山宏一
石山先生のプロフィール  
<第158回> Updated September 10, 2018 更新日:2018年9月10日

今月の新語ファイル

英和編 esports eスポーツ

esports(発音は「イスポーツ」)とは electronic sports の略語で、e と sports の間にハイフンを入れて e-sports とも書き、「オンラインのコンピューターゲームを大規模化したもので、スポーツと見なし、内容は格闘、射撃等のゲームを用いて大スクリーンで対戦型の個人戦や団体戦で勝敗を争う競技」を指す新語(注1)。このオンラインゲームが水泳や陸上競技等の「スポーツ」になるか否かについては論議があるが、この新語の源流は1980年代後半に始まったパソコンゲームに遡り、2000年頃にネット内で「esports」と造語され、次第にIT業界では広がっていったが、他の業界へは広まることはなかった。しかし最近になって、世界的にネットが普及し通信速度が向上したため、大スクリーンでの試合動画が観戦しやくすくなり、ファン層(特にゲーム好きの若者)が爆発的に拡大し、The Wall Street Journal や The New York Times 等の主要メディアが注目し世界に広まった(注2)。また今年8月末には米国フロリダ州ジャックソンビルで開かれた esports 大会で銃乱射事件があり、大々的に報道された。

それにしても、esports の世界的人気はすざましく、すでに一大産業になっており, ゲーム大会の賞金額も数十億円にも達し、今年7月下旬からインドネシア・ジャカルタで開催されたアジア大会では初の公開競技 (open exhibition) となった。つまり立派な「スポーツ」として認定されたのである。4年後の2022年の杭州(中国)でのアジア大会では正式競技となる予定である。ジャカルタ大会では6種類のゲームが採用され、初日の対戦型戦闘ゲームは5人一組の団体戦で、地区予選を勝ち抜いた日本、中国、インドネシアなど8チームが出場し、ステージに上がり、通信機器を持ち、巧みに操作して画面上のキャラクターを戦わせたという(注3)。

そして、若者の五輪(オリンピック)離れに悩んでいる国際オリンピック委員会(International Olympic Committee=IOC) も若者に人気の esports に多大の関心を示しており、今年の7月21日にはスイス・ローザンヌで esports やゲーム会社の関係者を招いてフォーラムを開いた。そこでIOCの役員が「五輪と esports は今後も継続的な対話を行う」と連携の可能性について言及したという (注4)。

こうしたIOCの動きの背景には esports の市場規模の拡大と、これに関する巨額のスポンサー料や放映権料をにらんだ財政戦略がある。この競技人口は世界で1億人と推定され、テニス(1億1千万人)に匹敵しているという。米調査会社によると、esports の市場規模は2017年時点で15億ドル(約1,660億円)で、5年後の22年には1.5倍の23億ドルにまで急拡大すると予想されている(注5)。ネットなどを通じた総視聴者も現在の3億8千万人が20年には6億人まで増えると見込まれており、視聴者の多くは10~30代である。海外では専用スタジアムに数万人を集める大会が開かれており、昨年米国で開催された対戦ゲーム大会の賞金総額が約27億円に達したという。

esports の邦訳語であるが、いろいろ調べた結果、上記の直訳のカタカナ語「eスポーツ」を適訳語とした(注6)。直訳の「電子スポーツ」や、eを「イ」にして「イスポーツ」はダサいので採用しなかった。この訳語には問題がないであろう。

[訳例]としては日本経済新聞(紙版)が「eスポーツ企業も参戦・リーグ戦にプロ球団」と題した記事で、「美でもゲームによる対戦競技『eスポーツ』の関連ビジネスが活況だ…」と「eスポーツ」を訳語として使っていた(注7)。

[用例1]としては The Wall Street Journal (online) が“Florida Esports Shooting Raises Security Issues”と題した記事で、“…In esports, players compete at video games individually or on squads, typically for cash prizes. Matches are commonly broadcast alive online…”として“esports”を使用(注8)。

[用例2]としては The New York Times (online) が “What You Might Not Know About E-sports, Soon to Be a $1 Billion Industry” と題した記事で、“…The shooting…thrust a young, growing and often little understood industry, known as e-sports, into the national spotlight…” して “e-sports” を使っていた(注9)。

[用例3]としては The Washington Post が “Wonkblog Analysis: Massive popularity of esports in charts” と題した記事で “…But esports, as the universe of spectator-friendly competitive gaming has come to be known, has grown rapidly in recent years” と “esports” を載せていた(注10)。

注1) 上記[訳例][用例1][用例2」[用例3](ここでは引用されていない)参照。またNHK総合テレビ2018年8月5日午後6:10~6:45、「これで分かった世界の今/世界が注目するeスポーツ」、と東京新聞(紙版)2018年8月27日朝刊27面、「eスポーツ観客興奮」参照。そして産経新聞(紙版)2018年8月10日3面、「eスポーツ『魅力伝える』・アジア大会壮行会」と同新聞(紙版)2018年8月28日27面、「米eスポーツ大会 乱射・2人死亡、24歳容疑者自殺」参照。他に毎日新聞(紙版)2018年8月10日朝刊1面、「eスポーツ『金』への道」や読売新聞(紙版)2018年8月13日夕刊1面、「対戦ゲーム『eスポーツ』五輪へ・若者つかめ IOC触手」と日本経済新聞(紙版)2018年8月10日朝刊13面、「eスポーツトヨタ動かす」も参照。
注2) 上記の[訳例][用例1][用例2」[用例3]と新聞記事参照。
注3) 上記東京新聞記事参照。その後、日本はそのアジア大会の esports 競技の一種のサッカーゲーム「ウィニングイレブン2018」の決勝戦(9月1日)で勝ち、優勝した(日本経済新聞(紙版)2018年9月3日朝刊34面、「eスポーツ会場沸いた」参照)。
注4) 同上。
注5) 東京新聞(紙版)2018年8月20日夕刊2面、「eスポーツ急伸・アジア大会初・ 公開競技」と日本経済新聞(紙版)2018年8月22日夕刊1面、「eスポーツ企業も参戦・リーグ戦にプロ球団」参照。
注6) 最新オンライン辞典の「英辞郎」(アルク)には esports の訳語として「eスポーツ」を挙げ、「複数のプレーヤーが参加するコンピューターゲームをスポーツとみなした表現」と説明し、同辞典の Weblio も「ネットワークとコンピューターを用いた対戦ゲームを競技として楽しむ娯楽スタイル」と説明していた(2018年9月4日時点)。市販の日本の紙版の英和辞典には勿論、同項目は無い。
注7) 日本経済新聞(紙版)2018年8月22日夕刊1面、「eスポーツ企業も参戦・リーグ戦にプロ球団」
注8) The Wall Street Journal (print), Aug. 28, 2018, p. A3, “Florida Esports Shooting Raises Security Issues”
注9) The New York Times (online), Aug. 27, 2018, “What You Might Not Know About E-sports, Soon to Be a $1 Billion Industry”(https://www.nytimes.com/2018/08/27/business/what-is-esports-gaming.html) (Seen on Sept. 4, 2018).
注10) The Washington Post (online), Aug. 27, 2018, “Wonkblog Analysis: Massive popularity of esports in charts” (https://www.washingtonpost.com/business/2018/08/27/massive-popularity-esports-charts/?utm_term=.9fbfe8b8b96c) (Seen on Sept. 4, 2018).




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