石山宏一の新語ウォッチング

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桐蔭横浜大学客員教授 石山宏一
石山先生のプロフィール  
<第143回> Updated June 5, 2017 更新日:2017年6月5日

今月の新語ファイル

和英編 セルフレジ self-checkout

セルフレジ」とは「無人レジ」ともいい、「コンビニやスーパーでの買い物をした後での会計を籠(かご)を置くだけで瞬時に自分で会計できること」を指す新語(注1)。この会計を行う前提として全ての商品に「バーコード」や、電子的に商品情報を記憶させる「IC(電子)タグ」を貼り付ける必要があるが、日本政府は今年4月にその「ICタグ」を貼り付ける計画を発表した。

英国や米国では「ICタグ」より簡略な「バーコード」を使った「セルフレジ」がすでに1990年末から始まっていたが、日本ではその後2003年頃に初めてスーパーで同じく「バーコード」使用による「セフルレジ」が導入された(注2)。しかし、この場合の「セルフレジ」はまだ店員がレジを打つため、完全に無人の「セルフレジ」は本格導入に必要な「ICタグ」があまりにも高コストのため、日本では今までに行われなかった。ところが、最近になって政府の動きもあり読売新聞や日本経済新聞等の主流マスコミも扱ったため一気に広まり、人口に膾炙した(注3)。

最新の報道によると、経済産業省は今年4月17日、コンビニ大手5社と協力し、「ICタグ」を2025年までに全商品に貼り付けることを目標とした「コンビニ電子タグ1千億枚宣言」を発表した(注3)。大手5社とはセブン-イレブンジャパン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズで、18年をめどに一部地域で実証実験開始するという。日本ではスーパーではすでに、「バーコード」を読み取る方式の「セルフレジ」が増えているが、「ICタグ」はまだ導入されていない。「ICタグ」があると、籠ごと会計ができ、より利便性が高い(注4)。

問題は現状では「ICタグ」の単価が1枚当たり10~12円程度と高く、導入が困難な点である。経産省はコスト削減で10分の1以下の1円以下に押さえることが普及の条件としている。コンビニ各社にとっては「セルフレジ」が本格導入されると、レジ業務を簡素化でき、またデータを活用して棚卸し等の商品管理を合理化できるし、少子高齢化に伴う人手不足にも対処できるメリットもある。スゴイ時代である(注5)。

セルフレジ」の英訳語であるが、訳語を色々調べ検討した結果、self-checkout が適訳語となった(注6)。self-checkout の後に system を付けてもよい。直訳の self-register とは英語で単に「自己登録(機)」「自己申請(機)」の意味なので、訳語として採用しなかった。また「IC(電子)タグ」の訳語としては electronic tag あるいは etag または radio-frequency identification (RFID) tag とも訳されている。

[訳例1]としては The Washington Post (online) が“Bank tellers are the next blacksmiths”と題した記事で“Self-driving cars. Self-serve gas pumps. Self-checkout supermarkets. Add self-banking to that list...”と self-checkout を使っていた(注7)。

[訳例2]としては The New York Times (online) が“Technology: How It Works; The Self-Checkout: Lots of Swiping, no Stealing”と題した記事で“For many people, supermarket checkout involves seemingly endless period of tedium and frustration... Behind the scenes, each self-checkout system works with the supermarket's network servers...”と self-checkout を使用(注8)。

[訳例3]は Wikipedia (online) が“Self-Checkout”と題した項目で“Self-checkout (also known as self-service checkout... machines provide mechanism for customers to process their own purchases from a retailer...”と self-checkout を用いていた(注9)。

注1) 上記[訳例1][訳例2][訳例3]参照。また、東京新聞朝刊(紙版)2017年4月19日7面、「コンビニ全商品にICタグ/セルフレジで瞬時に会計」、日本経済新聞朝刊(紙版)2017年4月18日1面、「全コンビニに無人レジ/大手5社流通業を効率化/ICタグ一斉導入」と読売新聞夕刊(紙版)2017年5月6日1面、「電子タグレジ一瞬/利用店増加・万引き防止も」参照。また JapanKnowledge(オンライン版)、「セルフレジ」(情報・知識imidas 2017)参照(このサイトのURLは有料のため割愛した)(2017年5月30日時点)。他に日本で現在唯一の紙版新語事典の「現代用語の基礎知識2017」(自由国民社2016年刊)、1172頁・618頁「セルフレジ」参照。
注2) 上記 JapanKnowledge記事参照。この「セルフレジ」技術そのものは43年前の1984年にアメリカ人のデイビッド・R・ハンブル (David R. Humble) 氏等が発明・造語したとされる。
注3) 上記の新聞記事参照。「ICタグ」とは小さく薄いタグ(荷札)にICチップとアンテナを内蔵したもので、RFID (Radio Frequency Identification) と呼ばれる技術。これは関東方面では Suica(スイカ)や Pasmo(パスモ)等の電子乗車券に使われており、Reader(リーダー=読み取り)/Writer(ライター=書き込み)装置から微弱の電波を発射し、そのエネルギーを電力に変えICデータにデータを読み書きする。
注4) 上記新聞記事参照。
注5) 同上。
注6) 最新オンライン辞典の「英辞郎」(アルク)は「セルフレジ」の訳語に self-checkout を使い、同辞典の Weblio には「セルフレジ」の項目は無かった(2017年5月30日時点)
注7) The Washington Post (online), Feb. 8, 2017,“Bank tellers are the next blacksmiths”(https://www.washingtonpost.com/business/economy/bank-tellers-are-the-next-blacksmiths/2017/02/08/fdf78618-ee1c-11e6-9662-6eedf1627882_story.html?) (Seen on May 30, 2017)
注8) The New York Times (online), June 6, 2002, “Technology: How It Works; The Self-Checkout: Lots of Swiping, no Stealing”(http://www.nytimes.com/2002/06/06/technology/how-it-works-the-self-checkout-lots-of-swiping-no-stealing.html)(Seen on May 30, 2017)
注9) Wikipedia (online), “Self-checkout”(http://en.wikipedia.org/wiki/Self-checkout) (Seen on May 30, 2017)




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