石山宏一の新語ウォッチング

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桐蔭横浜大学客員教授 石山宏一
石山先生のプロフィール  
<第128回> Updated March 7, 2016 更新日:2016年3月7日

今月の新語ファイル

英和編 fintech フィンテック

fintech とはfinancial (金融)とtechnology(技術)あるいはinformation technology (IT)(情報技術)との合成語で「金融分野において、情報技術を駆使して新規の金融サービスを生み出したり、今までのサービスを見直し・改善する動き」を指す新語(注1)。この新語は2年前の2014年中頃に米国で提唱・造語されたもので、その後次第に浸透し、最近になって米国のウォール・ストリート・ジャーナル等の主流メデイアも取り上げるようになったため、全世界に広まった(注2)。

この新語を使って最近では「フィンテック革命」あるいは「フィンテック熱」とも呼ばれており、その動きが特に米国で顕著で、日本や欧州にも波及して毎日世界の金融業界を席捲している。その背景には主に次の4つの要因が考えられている。第1に、IT技術の進化やクラウドコンピューティングの一般化により情報処理コストが大幅に下がり、大量で多種多様のデータの蓄積・処理、分析が容易になった。第2に、各種センサーやスキャニング技術が容易に実用化できる域に達したこと。第3には、人工知能や機械学習等の技術が実用化されたこと。そして第4に、スマートフォン(スマホ)が急速に普及し、人々が毎日ITを利用するようになったことである(注3)。

そして、その「フィンテック革命」の例としては、ATMカードなしの指紋だけで支払いが出来る「手ぶら決済」、人工知能による資産運用「ロボ・アドバイザー」、ビックデータを活用して瞬時に融資判断する「インスタント・ローン・サービス」等が挙げられる(注4)。これらの新しい金融サービスは数多くのベンチャー企業により可能となり、将来的には銀行・証券・カード会社の垣根を取り払い、革命的な金融業界が台頭する可能性がある。

fintech の邦訳語であるが、色々調べた結果、上記のように直訳語のカタカナ表記で「フィンテック」を最適訳語とした(注5)。直訳の「金融(情報)技術」も訳語として検討したが、これではダサイと思われたので、今回は採用しなかった。[訳例]としては日本経済新聞が「大手金融機関がフィンテック誘致異業種連合で」と題した記事で「金融にIT(情報技術)を活用したフィンテック企業を海外から誘致しようと...」と「フィンテック」を使っていた(注6)。

[用例1]としては The Wall Street Journal (print) が “Fintech Finally Arrives” と見出しをつけた記事で “There's been a lot of hype about a coming wave of fintech, but up until now the financial services industry has been relatively undisrupted by technology...” として “fintech” を使用していた(注7)。

[用例2]としては Financial Times (print)が “Fintech darling Wirecard falls from favour after report raises concerns” と題した記事で、 “One of Europe's fastest-growing financial technology groups fell more than a fifth after a highly critical report on its controls by a research group ...” として “fintech” を使っていた(注8)。

注1) 上記[用例1][用例2]参照。また、NHK総合テレビ2015年2月8日午後7時30分~58分、「クローズアップ現代/ITが変える“お金の未来~フィンテック革命の衝撃~”」参照 (http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3766.html) (Seen on March 1, 2016)。そして ITmedia (オンライン),「今さら聞けない『FinTech』の基礎知識:第1回:FinTechとは何か」参照 (http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1601/18/news010.html) (Seen on March 1, 2016)。他にWikipedia(online),“Financial technology" (http://en.wikipedia.org/wiki/Financial_technology) (Seen on March 1,2016) も参照。
注2) 上記[用例1][用例2]参照。また、日本経済新聞(電子版)2015年9月7日「フィンテック革命、金融が変わる」参照(2016年2月10日参照, この記事全体が有料なので、フリーアクセスできない)。ちなみに、紙版の最新新語事典の「現代用語の基礎知識2016」(自由国民社2015年刊)には「fintech」の項目はなかった。
注3) 上記ITmedia 記事参照。
注4) 上記日経記事参照。
注5) 日本での最新オンライン辞典の「英辞郎」(アルク)やWeblioには「fintech 」の項目はなかった(2016年3月1日時点)。同様に、市井の紙版の英和辞典には勿論「fintech」の項目はない。
注6) 日本経済新聞(紙版)2016年2月19日1面「「フィンテック誘致異業種連合で」,と同新聞(紙版)2015年2月29日5面「風速計/『フィンテック熱』の裏に危機感」参照。
注7) The Wall Streeet Journal (print), Jan. 4, 2016, p.A13, “Fintech Finally Arrives”
注8) Financial Times Asia (print), Feb. 25, 2016, p.13, “Companies & Markets/Fintech darling Wirecard falls from favour after report raises concerns”




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