石山宏一の新語ウォッチング

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桐蔭横浜大学客員教授 石山宏一
石山先生のプロフィール  
<第130回> Updated May 2, 2016 更新日:2016年5月2日

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英和編 smishing スミッシング

smishing(発音は「スミッシング」)とは SMS phishing(「フィッシング」)ともいい、short messaging service (SMS) と phishing の合成した新IT用語で「携帯電話の SMS を利用してメッセ-ジを送り、偽の権威あるフィッシングサイトに誘導して、ID やパスワードを盗みとり、お金をだましとる新規のオンライン詐欺の手法」を指す新語(注1)。phishing とは「偽の電子メールやサイトを介して他人の銀行口座等の情報を不正入手する詐欺行為」を示す一般用語。この新語は8年前の2008年頃に米国のインターネット内で造語されたが、その使用は英米の一部にしか浸透しなかった。しかし、最近になって日本でも smishing が初めて昨年確認され、東京新聞等の主流メデイアも取り上げるようになったため、今回取り上げた(注2)。

最近の報道によると、昨年1年間にインターネットバンキングで預金が別口座に不正送金された事件の被害額は前年比1億6300万円増の37億7300万円に上り、統計を取り始めた2011年以降、最悪になったという(注3)。これは警察庁がまとめたものであるが、日本でも初めて smishing と呼ばれる手口も昨年5月に国内で初めて確認された。日本国内でインターネットバンキングを利用しているのは1千万超口座と推定され、銀行などの金融機関も「フィッシング」詐欺を防ぐため色々な対策を講じている。その主なるものは銀行が発行する電子証明書 (digital [electronic] certificate) や、一定時間がたつと使えなくなる「ワンタイムパスワード」(one-time password) である。しかし、警察庁の報告によると、こんな対策を講じても被害にあってしまうという。上記の「電子証明書」を使った法人の17.2%,また「ワンタイムパスワード」を使用していた個人の9.7%が詐欺に引っかかった(注4)。筆者もネットバンキングを利用しているため、2重3重のセキュリテイ対策を講じて不正を防止したいと思う。

また、smishing の他にも色々な「フィッシング」詐欺が報告されている(注5)。その主なる2つを紹介すると、第一が Vishing(発音は「ヴィッシング」)と呼ばれるもので、victim(被害者)の v と phishing を合成した用語で、「メールではなく電話で相手(被害者)の個人情報を騙し取り、その乗っ取った銀行口座からお金を詐欺するものである。これは日本の「振り込め詐欺」に似ている。第二は pharming(「ファーミング」)と呼ばれるもので、phishing の最初の文字の ph と farming(畑を耕す)を合わせたもので、「匿名の詐欺師が貴方のパソコンに悪意のあるウイルスを仕込み、そのパソコンをまるで『畑を耕すように』しゃぶり尽くして、お金を巻き上げる手口である。おお、怖い、怖いである。

smishing の邦訳語であるが、色々調べた結果、上記のようにカタカナ表記「スミッシング」を適訳語とした(注6)。単に直訳の「SMSフィッシング」も訳語として検討したが、「スミッシング」の方が直裁的なので、今回は採用しなかった。

[訳例]としては東京新聞が「不正送金、最悪30億円/『スミッシング』初確認」と題した記事で「… 『スミッシング』と呼ばれる手口も… 国内初めて確認された」を使っていた(注7)。

[用例1]としてはBBC World Service (online) が “Vishing and smishing: The rise of social engineering fraud” と見出しをつけた記事で“... ‘Smishing’ is SMS phishing where text messages are sent to encourage people to pay money or click on suspicious links...” として “smishing” を使用していた(注8)。

[用例2]としては Wikipedia (online) が “SMS phishing” と題した記事で、 “In computing, SMS phishing or smishing is a form of criminal activity using social engineering techniques...” として “smishing” を使っていた(注9)。

注1) 上記[用例1][用例2]参照。東京新聞(紙版)2016年3月3日,8面「不正送金、最悪30億円/『スミッシング』初確認」と日立ソリュ-ションズ/情報セキュリテイブログ(オンライン)、「スミッシング(smishing)」とは」参照(http://securityblog.jp/words/smishing.html) (2016年4月25日時点) 。
注2) 上記[用例2](ここでは引用されていない)参照。また、ちなみに、最新語事典の「現代用語の基礎知識2016」(紙版、自由国民社2015年刊)には「スミッシング」の項目はなかった。
注3) 上記東京新聞記事参照。
注4) 同上。
注5) See Intuit (online), “Phishing, pharming, vishing and smishing” (https://security.intuit.com/phishing.html) (Seen on April 25,2016)。また、下記の BBC World Service の記事も参照。
注6) 日本最大で最新のオンライン辞典の「英辞郎」(アルク)は「スミッシング」と訳し、同辞典の Weblio(無料)は smishing の長い説明訳が掲載されていた(両方とも2016年4月25日時点)。同様に、市井の紙版の英和辞典には勿論「smishing」の項目はない。
注7) 上記東京新聞記事参照。
注8) BBC World Service (online), “Vishing and smishing: The rise of social engineering fraud” (http://www.bbc.com/news/business-35201188) (Seen on April 25,2016)
注9) Wikipedia (online) が “SMS phishing” (https://en.wikipedia.org/wiki/SMS_phishing).




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