石山宏一の新語ウォッチング

いまいちばんホットな英語の新語を、皆様にいちはやくお届けします!

桐蔭横浜大学客員教授 石山宏一
石山先生のプロフィール  
<第139回> Updated February 6, 2017 更新日:2017年2月6日

今月の新語ファイル

英和編 bleisure ブリージャー

bleisure(発音は「ブリージャー」)とは business(ビジネス)と leisure(レジャ-、休暇)の合成語で、「ビジネスとレジャーを融合した新たなビジネス旅行で、出張先で延泊して、時には家族や友人を呼んで楽しむ旅行形態」を指す新語(注1)。この新語は leisure の派生語として普通名詞として使われ、5年前の2011年頃にネットで造語されたが、最初は広まらなかった。しかし、昨年(2016年)にトラベル専門誌等で bleisure が急増していると伝えられ、朝日新聞や The Economist 等の主流日英メデイアにも取り上げられ、全世界に広まった(注2)。

最新の報道によると、世界的規模のトラベル専門誌の Travel Weekly が行った数千以上の旅行代理店のアンケートでは bleisure は近年急増しており、昨年は前年比17%増となり、統計を取り始めた2012年の11%増、2015年の14%増よりも伸びている(注3)。また、世界的オンライン宿泊予約サイトのブッキング・ドットコムが昨年、10か国の各1千人を対象としたアンケートでは米国人の65%が過去1年間に出張を延長して休暇をとり、前年比で2桁以上の伸びを記録した。

この bleisure の拡大に国内のホテルも注目している(注4)。例えば、ザ・プリンスパークタワー東京(港区)が昨年10月、bleisure の取り込みを見込んで、29~31階の上級フロアを改装した。休暇を含めた中長期滞在を想定しているという。他にホテル椿山荘東京(文京区)も bleisure客のために日本庭園を眼下に望みながら茶道を楽しめる和室を新装した。

また、この bleisure を奨励する動きも企業で出始めた。例えば、上記のブッキング・ドットコムの日本法人ブッキング・ドットコム・ジャパン(港区)では社員が出張ついでに休暇をとることをすすめている。国内外を問わず、出張先との往復交通費は支給され、それ以外の交通費や休暇中の宿泊費は自己負担となる。家族や友人を連れて行くことも問題はない(注5)。しかし、休暇中に事故に遭った場合には労災保険の適用外になるという。

この bleisure が世界的に拡大している理由としては身体をリフレッシュするだけでなく、その出張先で文化や食べ物を体験でき見聞を広める絶好の機会になるという。しかし、専門家によると、出張とともに休暇をとるのは「公私混合や役得」とみる向きもあり、現在日本では「出張後の休暇を禁止している国内企業が多い」という。bleisure は日本の会社にとって従業員の働く意欲を向上させるためには検討すべき課題であろう。

bleisure(普通名詞)の邦訳語であるが、いろいろ調べた結果上記のように直訳の「ブリージャー」を適訳語とした(注6)。bleisure の後の部分の英語 leisure を日本で定着している言い方「レジャー」としないで、敢えて英語読みの「リージャー」としたのは新規さを出すためである。意訳して「出張休暇」も訳語として考えたが、「ブリージャー」の方が「出張休暇」よりも日本では訳語として目を引き、浸透しやすいと判断したためである。

[訳例]としては朝日新聞(紙版)が「米英で普及『ブリージャー』/出張先で休暇/ホテル熱視線」と題した記事で「出張のついでに休暇を楽しむ『ブリージャー』と呼ばれるライフスタイルが注目を集めている...」として「ブリージャー」を訳語として挙げていた(注7)。

[用例1]としては The Economist (online) が“‘Bleisure’, really?”と題した記事で、“How's this for a terrible neologism: “bleisure” It is a portmanteau of business and leisure, and is used to describe what some people claim is a new type of business traveler : one who fits in leisure travel while on the road...”として“bleisure”を使用していた(注8)。

[用例2]としては The Telegraph (online) が“The rise of ‘bleisure trips’”と題した記事で、“The rise of “bleisure”--where travellers mix their business trips with leisure time--is allowing workers to save money and transform what can be an inconvenient trip away into a pleasure stay...”として“bleisure”を使用(注9)。

[用例3]としては CNN.com (online) が“On Business Traveller / Bleisure travellers : A new tribe injects fun into business trips”と題した記事で、“...A new breed of traveler is mixing business with leisure on so-called “bleisure” trips...”として“bleisure”を使っていた(注10)

注1) 上記[用例1][用例2][用例3]参照。また、朝日新聞(紙版)2017年1月14日夕刊、11面「米英で普及『ブリージャー』/出張先で休暇/ホテル熱視線」と産経ニュース(電子版)2016年9月30日、「狙いは『ブリージャー』利用者/ザ・プリンスパークタワー東京が上級フロアを改装」参照(http://www.sankei.com/economy/news/160930/ecn1609300035-n1.html)
注2) [用例1][用例2][用例3]と上記朝日新聞記事参照。
注3) See Travel Weekly (online), “Business Travel: ‘Bleisure’ is now more than a buzzword” (http://www.travelweekly.com/ConsumerSurvey2016/Bleisure-is-now-more-than-a-buzzword)
(Seen on Jan. 31, 2017)
注4) 上記朝日新聞記事参照。
注5) 同上。
注6) 最新オンライン辞典の「英辞郎」(アルク)には bleisure の項目は無かったが、同辞典の Weblio は日本語の訳語はなく、Wiktionary の英語の説明を掲載していた(両方とも2017年1月31日時点)。市井の紙版の英和辞典には勿論 bleisure の項目はない。
注7) 朝日新聞(紙版)2017年1月14日夕刊、11面「米英で普及『ブリージャー』/出張先で休暇/ホテル熱視線」参照。
注8) The Economist (online), March 19, 2015, “ ‘Bleisure’, really?”
(http://www.economist.com/blogs/gulliver/2015/03/mixing-business-and-leisure)
(Seen on Jan. 31, 2017).
注9) The Telegraph (online), “The rise of ‘bleisure trips’”
(http://www.telegraph.co.uk/connect/small-business/business-travel/rise-of-bleisure-trips/)
(Seen on Jan. 31, 2017).
注10) CNN.com (online), Oct. 13. 2016, “On Business Traveler: Bleisure travelers: A new tribe injects fun into business trips”)
(http://edition.cnn.com/2015/10/13/travel/bleisure-travel/)
(Seen on Jan. 31, 2017)




本を探す

Google

サイト内 Web全体

Category(書籍カテゴリー)

  • 英語

    • 英和・和英辞典
    • その他英語辞典
    • 図解辞典
    • TOEIC
    • 英単語
    • 児童英語
    • コーパス
    • 英語学習法
    • その他語学書
  • 中国語

    • 辞典
    • 語学書
  • 韓国・朝鮮語
  • イタリア語
  • フランス語
  • ドイツ語
  • スペイン語
  • ポルトガル語
  • ロシア語
  • アラビア語
  • タイ語
  • その他の言語
  • 一般書

アプリ版やり直し英語 1日1問!

親子で辞書テク