石山宏一の新語ウォッチング

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桐蔭横浜大学客員教授 石山宏一
石山先生のプロフィール  
<第149回> Updated December 7, 2017 更新日:2017年12月7日

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英和編 phubbing ファビング

phubbing(発音は「ファビング」)とは phone(電話)と snubbing(snubの現在分詞形で「無視(する)の意」の合成語 (portmanteau) で「スマートフォン(スマホ)やタブレット等のモバイル端末を見たりして熱中するあまり、目の前の人を無視する行為」を指す新語(注1)。よく会議や飲み会で見かける光景である。この言葉は2012年にオーストラリア英語の権威とされる Macquarie Dictionary(「マッククエリー辞書」)が phubbing の行為が目に余るために専門家に依頼して造語し、同国のMcCann(マキャン)と呼ばれる広告代理店が初めて使用したとされるが、当初はあまり広がらなかった。しかし、最近になって日本でも大相撲の横綱日馬富士が後輩力士を殴ったとされる事件の発端が phubbing と判明し、朝日新聞やNHK等の国内メディアが連日 phubbing を報じ、米国の Washington Post 等外国の主流メディアも数年前から phubbing が大きく取り上げていたため、全世界に波及した(注2)。

横綱日馬富士の件であるが、これは推移する話 (running story) で本稿執筆時点(11月28日)ではまだ真相が判明していないので詳細について言及は避けるが、phubbing が発端であったことは間違いなさそうである(注3)。

それにしても、phubbing の行為は男女の交際関係や会社等での人間関係に大きな影響を及ぼしている。例えば、2年前に米国で発行された論文によると、テキサス州 Baylor University(ベイラー大学)の研究者が全米で phubbing についてアンケートをしたところ、半数の回答者が「携帯電話やスマホに使用により恋愛関係が著しく破壊され、うつ病を悪化した」と返答したという(注4)。これは米国の男女450人を対象に行った調査の結果である。

筆者も職場や取材する場所でも時々 phubbing を見かけるが、その理由を当事者に尋ねると、「疑問点がすぐ調べられる」「急ぎの返信に欠かせない」との由。そう返答されて一応は納得したが、それでも重要な議題が無視されている感じが強く、その場にいる人に無礼極まりないと思うので辞めるべきであろう。

phubbing の邦訳語であるが、いろいろ調べた結果、英語のカタカナ読みの「ファビング」を適訳語とした(注5)。説明訳の「モバイル端末に熱中するあまり、目の前の人を無視する行為」も訳語として考えたが、長すぎるので今回は採用しなかった。関連語として phubbing する人を phubber(発音は「ファバー」)という。

[用例1]としては The Washington Post (online) が“Are you ‘phubbing’ right now? What it is and why science says it’s bad for your relationships”と題した記事で、“Phubbing” is the practice of snubbing others in favor of our mobile phones. We’ve all been there, as either victim or perpetrator...”として“phubbing”を使っていた(注6)

[用例2]としては Huffington Post (online) が“Lifestyle: This Trend is Ruining Relationships (And You’re probably Guilty Of It)”と題した記事で、“…The woman was hardcore phubbing –ignoring her S.O. and paying attention to her phone. Phubbing, a word that combines phone and snubbing, is becoming increasingly common in our social interactions, especially in romantic relationships として“phubbing”を使用(注7)。

[用例3]としては Wikipedia (online) が“phubbing”と題した記事で、“Phubbing is a term coined as part of a campaign by Macquairie Diction to describe the habit of snubbing someone in favour of a mobile phone...” として“phubbing”を使用していた(注8)。

注1) 上記[用例1][用例2][用例3]参照。そして朝日新聞(紙版)2017年11月17日朝刊1面、「天声人語(コラム)」と日本経済新聞(紙版)2017年11月15日朝刊47面、「日馬富士暴行で被害届/殴打はスマホきっかけ」参照。またオンライン百科事典のJapanKnowledgeや日本で現在唯一の紙版新語事典の「現代用語の基礎知識2017」(自由国民社2016年刊)には phubbing の項目はない。
注2) 上記[用例1][用例2][用例3]記事参照。
注3) 上記日経新聞記事参照。
注4) Also see Mailonline (online), June 16, 2017, “Is Phubbing destroying your life?” (http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-4598938/Phubbing-ruining-relationship-study-finds.html). また上記朝日新聞記事参照。
注5) 最新オンライン辞典の「英辞郎」(アルク)には「phubbing」の項目はなく、同辞典の Weblio は「ファビング」の訳語を掲げ、説明訳をつけていた(2017年11月28日時点)。市販の日本の紙版の英和辞典には勿論、同項目は無い。
注6) Washington Post (online), October 13, 2017, “Are you ‘phubbing’ right now? What it is and why science says it’s bad for your relationships” (https://www.washingtonpost.com/news/inspired-life/wp/2017/10/13/are-you-phubbing-right-now-what-it-is-and-why-science-says-its-bad-for-your-relationships/?utm_term=.986c4dda45c8) (Seen on Nov. 28, 2017)
注7) Huffington Post (online), November 1, 2017, “Lifestyle: This Trend is Ruining Relationships (And You’re probably Guilty Of It)”(https://www.huffingtonpost.com/entry/phubbing-is-probably-ruining-your-relationship_us_59f9fc07e4b046017fb07e32) (Seen on Nov. 28, 2017)
注8) Wikipedia (online),“Phubbing” (https://en.wikipedia.org/wiki/Phubbing) (Seen on Nov. 28, 2017)




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