石山宏一の新語ウォッチング

いまいちばんホットな英語の新語を、皆様にいちはやくお届けします!

桐蔭横浜大学客員教授 石山宏一
石山先生のプロフィール  
<第151回> Updated February 5, 2018 更新日:2018年2月5日

今月の新語ファイル

英和編 FANG・MANT ファング・マント

FANG・MANT(発音は「ファング・マント」)とは、日頃経済・株式分野のニュースに接していない人にはほとんど不明な新語だが、これは昨年日本を除く世界で過去最高値を記録した主な株式市場を席巻した言葉である。これは「米国のIT(情報技術)企業8社の頭文字を並べたもので2年前に造語され、FANG の F は Facebook(フェイスブック)、A はAmazon.com(アマゾンドットコム)、N は Netflix(ネットフリックス)、G は Google(グーグル=Alphabet(アルファベット)の持ち株会社)であり、MANT の M は Microsoft(マイクロソフト)、A は Apple(アップル)、N は Nvidia(エヌビィデア)、T は Tesla(テスラ)」を指す新語(注1)。Fang・Mant とも書く。8社の内、日本の読者になじみのないのが Netflix, Nvidia と Tesla と思われるが、Netflix はオンライン DVD レンタル及び映像ストリーミング配信会社、Nvidia とはコンピューターグラフィックス処理や演算処理を高速化できる半導体メーカーで、Tesla は電気自動車メーカーである。これら8社が昨年世界の株式市場を牽引した米株式を主導したため、Financial Times 等主要メディアでも報道され、今年になって米以外の日本や他国でも取り上げられ全世界に広まった(注2)。

2017年は金融緩和であふれるマネーがあらゆる資産に流れ込んだが、特に株式に集中し世界30か国の株式指数が最高値を更新し、世界株の時価総額 (market capitalization) は84兆ドル(9500兆円)と1年で15兆ドル(21%)も拡大した。米株式もダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) が20%以上も上がり、年間で約70回も最高値を更新。この株高の最大の理由は上述の通り、FANG・MANT と呼ばれる米IT大手8社の隆盛である。世界の時価総額順位では1位は Apple で、その後の順番は Alphabet, Microsoft, Amazon.com, Facebook となり8社合計の時価総額は1月中旬時点で3兆6104億ドル(約406兆円)と日本国家予算の4倍以上となっている(注3)。

これら米8社は情報技術 (information technology=IT) や膨大なデータを駆使して新たな製品やサービスを生み出して、世界の人々の生活や産業構造を急激に変えつつある。電子商取引 (ecommerce) ではアマゾンが各国の小売業界を圧倒し、人工知能 (artificial intelligence=AI) や自動運転 (driverless driving) の開発などの新産業でもこのIT8社が現在主導的な役割を担っている(注4)。20数年前までは世界の製造業をはじめ新産業を引っ張ってきた日本のメーカーはどこに行ってしまったのであろうか。アメリカに完敗である!

FANG・MANT(あるいは Fang・Mant)の邦訳語であるが、いろいろ調べた結果、筆者独創の訳語で恐縮するが英語のカタカナ読みの「ファング・マント」を適訳語とした(注5)。ファングとマントの間に・(中黒(なかぐろ))を入れるのに注意。説明訳の「世界を席巻する米IT8社」も考えたが、英の元のニュアンスが出ていないし、長すぎるので今回は採用しなかった。なお、用例を探したが、新語中の新語のため発見したのは FANG (Fang) のみだけで、MANT (Mant) のは見つからなかった。金融用語専門の検索サイト(有料)の Factiva や LexisNexis も検索したが、MANT (Mant) の用例は無かった。そのため、下記の用例は FANG (Fang) のものである。

[用例1]としては Financial Times (online)(有料)が“‘Fang’ stocks add $83bn to their market value over 7 days”と題した記事で、“Facebook, Amazon, Netflix and Google parent Alphabet—the so-called Fang stocks—have collectively added $83.4 bn to their market value over the first seven trading days this year...”として“Fang”を使っていた(注6)。

[用例2]としては Investopedia (online) が“FANG Stocks”と題した記事で、“…FANG is the acronym for four high performing technology stocks in the markets as of 2017—Facebook, Amazon, Netflix and Google (now Alphabet, Inc.) として“FANG”を使用(注7)。

注1) 上記[用例1][用例2]参照。そして日本経済新聞(紙版)2017年12月30日朝刊1面、「17年熱狂なき世界株高」と同3面、「日本株記録ずくめ」「きょうのことば/ FANG・MANT世界を席巻する米IT8社」参照。また、同じく日本経済新聞(紙版)2018年1月5日朝刊1面、「株高6年持続力試す/大発会日経平均26年ぶり高値」と同1月6日3面、「世界株高どこまで」参照。そしてオンライン百科事典の JapanKnowledge や日本で現在唯一の紙版新語事典の「現代用語の基礎知識2018」(自由国民社2017年刊)には FANG・MANT の項目はない。8社の内、後述した3社の他の5社は自明の理だが Facebook は「SNS大手」、Amazon は「ネット通販大手」、Google は「検索大手」、Microsoft は「OS の Windows 等ソフト大手」、Apple は「スマホ iPhone 製造・販売社」である。
注2) 上記日経新聞12月30日付1面記事参照。
注3) 上記日経新聞12月30日付3面記事参照。
注4) 同上。
注5) 最新オンライン辞典の 「英辞郎」(アルク)と Weblio には「FANG・MANT」の項目は無かった(2018年1月30日時点)。市販の日本の紙版の英和辞典には勿論、同項目は無い。
注6) Financial Times (online), January 12, 2017, “‘Fang’ stocks add $83bn to their market value over 7 days” (https://www.ft.com/content/64964c8c-d820-11e6-944b-e7eb37a6aa8e) (Seen on Jan. 30, 2018).
注7) Investopedia (online), “FANG Stocks” (https://www.investopedia.com/terms/f/fang-stocks-fb-amzn.asp) (Seen on Jan.30, 2018).




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