石山宏一の新語ウォッチング

いまいちばんホットな英語の新語を、皆様にいちはやくお届けします!

【お知らせ】

2007年12月から12年余りにわたって連載してまいりました本コラムは、

今回3月分をもって終了することとなりました。

長い間ご愛読いただきました皆様に深くお礼申しあげます。

ジャーナリスト 石山宏一
石山先生のプロフィール  
<第176回> Updated March 2, 2020 更新日:2020年3月2日

今月の新語ファイル

英和編begpacker ベッグパッカー

begpacker (発音は「べッグパッカー」)とは明らかに backpacker(バックパッカー=自分の背中 (back) に背負い袋 (pack) をつけた人)の派生語で、「低額で世界旅行をするバックパッカーであるが、最近になって旅先で旅費を得るために現地の人に物乞い (beg) するようになった欧米の若い旅行者」を指す社会分野の新語(注1)。この新語は3年前の2017年初頭から東南アジア諸国の商店街で目立ち始めネットで造語されたが、最初は当該地域以外には広まらなかった。しかし、昨年末からこの begpacker があまりにしつこい物乞いの姿勢が目立つようになり大問題となったため、英国の the Guardian 等の欧米やアジアのメディア(特ににネットやSNS)が大きく報道し、世界的に広まった(注2)。

それにしても begpacker の状態は目に余る。最近の報道によると、欧米の好奇心の強い世界を旅行したい若者はいつも大勢いるが、旅費が少ないため、現地で皿洗い等の仕事をしながら自分の夢をかなえようとするのが一般的だが、最近ではそのような仕事はしなく、恥ずかしい物乞い (beg) に走っているという。特に東南アジアでは、オーストラリアや英国などの西欧諸国からのバックパッカーが「No money」等と自筆で書いたポスターを掲げて道行く人に金を無心するのが常だという(注3)。このような物乞いが頻繁なため、香港では最近警察が見つけ次第、海外に退避させることにしたり、タイでは入国時にそうした若者に滞在中の旅費を十分持っているか否か尋ねたり、バリでは物乞い行為を見つけ次第、当該大使館に連絡して警告処分しているという(注4)。最近のネットのブログでは「日本人でもそうした begpacker が東南アジアで見かけた」という記事をちらちら見かけ始めた。こうした物乞い行為は非常に不謹慎であり、日本人を含む若者は海外を旅行する際は矜持を持って旅行すべきであろう。

begpacker(可算名詞) の邦訳語であるが、いろいろ調べた結果、カタカナ語訳の「べッグパッカー」を適訳語とした(注5)。「バックパッカー」の関連語として「すぐわかる」と判断したからである。意訳と直訳の中間の「物乞いパッカー」でも間違いではないであろう。

[訳例]としては Buzzap.jp のサイトがコラム「アジアでベッグパッカー(乞食旅行者)が増加して問題に、日本人でも」と題した記事で「…それがベッグパッカー(乞食旅行者)です。これはバックパッカー (backpacker) と乞食 (Beg) をすることが合わさった造語...」と「ベッグパッカー」を訳語として利用(注6)。

[用例1]としては Macmillan Dictionary.com (online) が “BuzzWord begpacker”と題した記事で、“begpacker … a western tourist who tries to fund their continuing travel plans by begging for money on the streets of countries …” として “begpacker”を使っていた(注7)。

[用例2]としては the Guardian.com (online) が “Young, entitled and over there: the rise of the begpacker”と題した記事で、“…Name: Begpackers. Age: Young. Appearance: Grubby, down on their luck, not from round here…” として “begpacker”を使用(注8)。

注1) 上記[訳例][用例1][用例2」(ここでは引用されていない)参照。
注2) 同上。
注3) Macmillan Dictionary.com (online), “BuzzWord begpacker”(https://www.macmillandictionary.com/buzzword/entries/begpacker.html) (Seen on Feb. 25, 2020).
注4) The Guardian.com (online), July 22, 2019, “Young, entitled and over there: the rise of the begaker” (https://www.theguardian.com/travel/shortcuts/2019/jul/22/young-entitled-and-over-there-the-rise-of-the-begpacker) (Seen on Feb. 25, 2020).
注5) 最新オンラインン辞典の「英辞郎」(アルク)は begpacker の訳語として「べッグパッカー」を挙げ、また Weblio には同項目そのものが無かった(2020年2月25日時点)。市販の日本の紙版の英和辞典には勿論、同項目は無い。
注6) Buzzap.jp, 2019年7月18日、コラム「アジアでベッグパッカー(乞食旅行者)が増加して問題に、日本人でも」(https://buzzap.jp/news/20190718-begpacker/).
注7) Macmillan Dictionary.com (online), “BuzzWord begpaker”(https://www.macmillandictionary.com/buzzword/entries/begpacker.html) (Seen on Feb. 25, 2020).
注8) the Guardian.com (online), July 22, 2019, “Young, entitled and over there: the rise of the bepacker” (https://www.theguardian.com/travel/shortcuts/2019/jul/22/young-entitled-and-over-there-the-rise-of-the-begpacker) (Seen on Feb. 25, 2020).




これが最終回です。長い間ご愛読頂きまして誠に有難う御座いました(石山宏一)。

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