英語でも辞書引き!

辞書引き学習について深谷圭助

国語辞典を使った「辞書引き学習」を全国の小学生に紹介し、広めてきた深谷圭助先生が、今、日本の小学生のみなさんに英語の辞典でも「辞書引き学習」に取り組んでほしいと考えています。英語の辞典でも同じようにできるのでしょうか。「辞書引き学習」の大事なポイント、そして英語で「辞書引き学習」をすることについて、お話を聞いてみました。

「辞書引き学習」は“知らない言葉”ではなく、
“知っている言葉”を見つけることが大事!

みなさんは、辞書をどういうときに使いますか。辞書をまだ使ったことのない人もいるかもしれませんね。使ったことのある人は、「意味がわからない言葉があったから、辞書で調べた」という人が多いかもしれません。

私が指導する「辞書引き学習」は、「辞書を開いて知っている言葉を見つけたら、ふせんに書いて辞書にはる」というものです。「知っている言葉をわざわざ辞書で引くの?」と思う人もいるでしょう。でも、辞書を読んでみると、知っているつもりの言葉の意味をかんちがいして覚えていたり、使い方がまちがっていたりといった、いろいろな発見があります。これは、知っている言葉を引くからこそ気づくことです。

日本語だけでなく、外国の言葉もたくさん知っているのです

学校で勉強する以外に、みなさんは、おうちの人の話のなか、テレビやラジオ、町で見かける看板など、毎日たくさんの言葉に出会っていますので、国語辞典に知っている言葉がたくさんあっても不思議はありません。では、みなさんは、英語の辞典を開いて知っている言葉を見つけることはできるでしょうか。「私、まだ英語を勉強していないから、英語の言葉は知らない」「英語なんて、ぼくに関係ないから、知っている言葉はないと思うよ」という人はいませんか。

実は、みなさんはいつの間にか、英語の言葉をたくさん知っているし、使ってもいるのです。今回、英語の辞書引き学習のためのふせんをいっしょに考えた相田眞喜子先生は、小学4年生のみなさん120人といっしょに、英語だと思う言葉を集めたそうですが、なんと、2000語もの言葉が集まったそうです。
日本で見たり聞いたりする外国の言葉は英語以外にもありますが、実は、多くが英語からカタカナ語になったものです。英語から来た言葉とは気づかずに使っている言葉がきっとたくさんあります。ですから英語の辞典にも、「知ってる!」と思う言葉がたくさんあるのではないでしょうか。

英語の辞典には何が書いてあるの?

英語の辞典には、英和辞典や和英辞典、英語の絵辞典(英語の図鑑)などがあります。英和辞典には英語の言葉とその意味や例文がのっています。和英辞典には、日本語の言葉とその言葉を英語では何と言うかがのっています。例文ものっていますよ。

今回、英語の辞書引き学習には、英和辞典、または特に低学年のみなさんは、英語の絵辞典を使ってもよいでしょう。みなさんは、どんな言葉を見つけるでしょうか。

用意するもの

  • 辞書

    お子さんが見やすい、読みやすいものがよいでしょう。

  • ふせん

    アルファベットを書き慣れないお子さんには、英語用罫線(4線)が印刷されたものがおすすめです。4線が印刷されたふせんについてはこちらをご覧ください。

  • えんぴつ

手順はシンプルな3ステップ!

1

ふせんに通し番号を書く

2

辞書を広げて、
知っている言葉を探して
ふせんに書く

3

言葉を書いたふせんを
辞書の上のほうにはる

このやり方は、国語も英語も同じです。辞書引き学習をするうちに、自然と辞書に目を通して辞書の中を探検して歩くような気分になります。イラストのあるところ、写真のあるところ囲み記事のあるところなど、目についたところから読んでみると、辞書にはこんなことも書いてあるんだなとわかります。辞書引き学習を通して、辞書となかよくなりましょう!

piano ピアノ

英語の辞典で辞書引き学習をするときは、ふせんの下のほうに、その単語の意味を書いておいてもよいでしょう。

深谷圭介PROFILE

ふかや・けいすけ 1965年、愛知県生れ。愛知教育大学卒。名古屋大学大学院博士後期課程修了。公立小中学校教諭、立命館小学校校長を経て、現在、中部大学教授。辞書引き学習を文字指導と同時に始めることで、子どもたちの興味関心を広げ、自主的な学習態度を育てる効果があるという考えのもと、現在、学校では小学3年生から行っている辞書指導を小学1年生から導入することを提唱。

辞書引き学習について、詳しくはこちらをご覧ください

「深谷圭助先生の辞書引き学習」

http://www.jishobiki.jp/

辞書引き学習についてよく質問されることをお答えします。

ふせんに通し番号を
書くのはなぜ?

辞書引き学習は、継続し、積み重ねていく学習です。通し番号を書くことで、いくつの単語に出会い、何枚のふせんをはることができたかを把握することができますので、達成感ややる気につながります。辞書を開いて読み始めると、夢中になって番号を書くのを忘れてしまいます。辞書を開いて言葉を探し始める前に、10枚ずつ、20枚ずつなど、番号を書いておきましょう。

辞書は最初から順番に
読まなくてもいいのですか。

辞書引き学習は、子どもたちの自主性を重んじ、育てる学習法です。上記の3つの手順を守れば、辞書のどこから読んでも構いません。自分が興味を持ったものを追いかけることが大事です。ひとつの言葉から次の言葉につながるきっかけもお子さんそれぞれでいいのです。

ふせんを辞書のページの上に
はるのはなぜ?

横にはると、辞書を開くときに邪魔になってしまいます。下にはると、書いた文字が逆さまになって、この言葉はもう書いたかな? と確認するときに不便です。